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No.052

プロジェクト制

97/09/24
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この話は製品の開発段階での話ですから、一般の人にはあまり馴染みがないと思いますが、どうも日本とアメリカでは開発の進め方が違うように思うのですが。

その通りだね。
例えば一つの製品を開発するとき、日本の企業では何々事業部が担当する。
勿論、一つの部では出来ない場合が多いから関連する技術部門が参加するね。
そこには部長さんがおり、その下には課長、係長、主任と続く。
彼らはみんなそれぞれのラインの管理者だから組織、人事すべての管理責任を持っている。
日本の会社は総じて縦のラインの力が強いから権限がそこに集中する。
開発テーマがそうしたクローズドなグループで集約される時はラインとプロジェクトが同じドメインでも問題はないのだが、複数の部門にまたがると誰が誰の指示で動けば良いのか分からなくなり、部門同士でいがみ合ったり、お互いに相手がやるものと考え、動かなくなる。

プロジェクトチーム制というのがありますよ。関連部門からメンバーを選出してプロジェクトを組む。
その長はそのプロジェクトの完成についてだけ責任を持ち完成すれば解散するというものでしょう。
横の組織と呼んでいるようです。

そうなんだね。
一見合理的に見えるのだが、そのメンバーは同時に縦の組織の部員であり、部には長がいてそこにも仕事がある。
そうなるとどっちが強いか考えなくても分かると思う。
結局はラインの中にいて出来る範囲でお手伝いするという事になる。
そのうちまた別のプロジェクトチームが出来る。
そこにも「同じ名前で出ています」という事になり、しまいには本人が、どのプロジェクトメンバーだったのか分からなくなるという笑い話まで出てくる。

笑い話じゃないですよ。アメリカではこの点、どうしているのでしょうね。

アメリカの組織構造を勉強したことがないので、大きな事は云えないが、あるアメリカの技術者というかマネージャーが教えてくれたところに依ると、まず、各専門毎に技術者がずらりといる。その技術者群をプロダクトマネージャーが統括している。
統括というのはおかしいかな? 各人の分担と範囲を決め、その進捗を管理し、他部門との連絡に当たるんだね。
だから技術者は一人のプロダクトマネージャーとだけ調整をとれば良いことになり、極めてシンプルだね。

プロダクトマネージャーは大変だ。
開発の進行上、どの技術者が遅れているか、どんな問題を抱えているかを絶えずチェックし、手を打たなければ全体のスケジュール上でそこがクリティカルパスになってしまう。
考えると大変な仕事でラインの管理者をやりながら出来る仕事ではないだろうね。

その上にはマーケティングマネージャーがいて、その製品の販売戦略を立てる。
給料はマーケティング、プロダクト、エンジニアの順だそうだ。
余談だが、アメリカではこうした立場の人間を採用するとき、まず社内で公募する事が義務づけられているから普通の女子社員がマーケティングマネージャーに応募し、蕩々と自分の能力を宣伝する。給料が高いからね。

最近では大企業も関連会社に分かれたり、外部リソースを使う割合が多くなっているようですね。
そうなると日本のように人事管理までやっているラインの長がプロジェクトを纏めるのは至難の技ですね。
誰が旗を振っているのか分からなくなりますよ。

最近、新聞などで大企業の動きを批判的に書いているのもこんなところに問題が現れているのかも知れないね。
多くの組織や人数を動員しても一つの意志で新製品の開発が行われないと膨大なロスと機会損失を生み出すから。

* * * <ゴキブリ後記>
ある人が「最近は技術の核は殆どアメリカに依存しなければならない。これからどうなるんだろう」と嘆いていた。
そういえば新しいサービスもハードもソフトもアメリカだね。
「良いではないか、国や人種の垣根などとやかく云う時代ではなくなった。国粋主義の様なことを云いなさんな」という人もいる。
はて、どうなることやら。

ごきぶり日記

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