presented by TECHNO CREATE
HOME > コラム > 「ごきぶり日記」 > No.072 仙台(3)  
No.072

仙台(3)

98/01/14
印刷
文字サイズ
[大][中][小]

仙台は何も無いところだと云う。だが、こうした中堅都市には細やかな心遣いを感じる歴史の遺産や施設が数多く見受けられる。
一つ一つは有名だとは云えないが、その土地らしい自然な小名所が歴史の中に散りばめられている。

夏になるとひまわり祭りが行われる。広大な丘陵は大輪のひまわりが咲き乱れ、あぜ道を散策する大勢の人の頭だけが覗いている。まっ黄色の世界以外、何もないのだが、何とものびのびした広い世界に浸る。

東北自動車道、仙台南インターの近くに茂庭荘がある。伊達家のお屋敷をそのままに移設し保存したものという。
いかにも伊達のお屋敷らしい古風な建物の玄関を靴を脱いで上がる。
入り口には尋常小学校の歴代の国語の教科書が、「ハナ ハト・・・・・・」「さいた さいた さくらが・・・」と時代の順に陳列してある。伊達家と教科書は何の関係もないが、妙な調和が古めかしさを添えている。

実はこの茂庭荘は「仙台箪笥」というレストランなのだ。お家の中を一通り見学して、一階のレストランに入る。いや、レストランと呼ぶのは全くふさわしくない。つまり古色蒼然とした旧家の大広間にちゃぶ台が並んでいるだけである。
仙台箪笥の料理というから、部屋の中に陳列してある箪笥の中から料理が出るのかと期待する。

やがて和服の女性が捧げ持ってきたものは、針箱を少し大きくしたような仙台箪笥の小型版であった。この引き出しに夫々、注文の料理が入っている。
なんだか騙されたような変な気分になったが、これが郷土色というものかと納得する。

仙台は良いところだと多くの人が口を揃える。杜の都は緑が多く街は綺麗だ。
ゴルフ場も温泉も遠くても1時間以内にあるし、市内をバスが縦横に走っている。確かにこのドア ツウ ドアの交通機関は更に街を狭くし、便利にする。だが、田舎臭さのない都会でありながら何となく人情味の残っている感触が住み心地よく感じさせるのかも知れない。

ある大手企業の社長さんが「一度仙台に転勤するとすっかり気に入ってしまい、家を建ててしまったり、本社に復帰したあとも仙台に帰りたいと云うんで困っているんですよ」と話していた。

そう言えば家内も、東京の新しい家が完成した途端に「やっぱり私は仙台が良いわ」と一人で仙台の家に住み着いている。

ごきぶり日記

投稿「私にも一言」

ページTOPへ