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No.312

飛び出してはみたものの

03/02/10
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企業の人員削減手段として「早期退職優遇制度」が一般化しているが、相変わらず退職金の上積み金額にふらふらっと乗って、会社を辞めたのはいいが再就職の道が全くなく、厳しい現実にやっと気が付いたという話が多いらしい。

実はこの話は随分前から問題にされ、テレビでも何度となく特集を組んでいたのだが、これは自分の認識の落とし穴なので、なかなか気づかない。
それに退職金の積み増し額が大きい。規定の退職金の1.5~2倍程度になるのではあるまいか。数千万円を余計に貰う魅力には勝てないこともあるが、それだけの大金を貰っておいて、今度はほかで今までと同じ給料を貰おうと考えることが根底にあるのではあるまいか。

大企業という集合体は不思議なものだと考えることがある。
資本と共に規模を追求し、大きなブランド、つまりネオンサインが煌々と輝く。組織という骨組みがあり、その骨格にピタッと当てはまるように社員が教育され、やがて見事にその血となり肉となって一体化する。

新人も然りで、やがて見事な組織の一部に融合して部下を持つようになってゆく。間もなく限られた領域に於いては領主となり、次第に仕事が面白くなって部下からは頼られ、そしてちやほやされる。自分には何でも出来るのだと思い込んでも不思議ではない。

それが会社の対外的信用、組織の力、資金力(金をひねり出す力)、さらには優秀な部下の存在、という自分の力以外の背景が支えているということが見えなくなる。
仕事を探して駆けずり回るわけではない、資金繰りのために銀行をかけずり回った経験もない。少なくとも今の今までは安泰であったお城の中で、それらの傘になっている力をすべて取り除いた時、自分は何を持っているのだろうか、一人で何が出来るのだろうか、と考えて見ろという方が無理かも知れない。

だからリストラ、再就職となっても固く身に付いた会社の「鎧」が、なかなか剥がれない。「あなたは何が出来ますか」と聞かれると「管理職が出来ます」という答えが返って来るという。「管理職」、それは出来上がった組織の中で幾つかの歯車を動かすもう一つの歯車でしかない。組織から不要とされた歯車が、そのまま当てはまる社会のメカニズムなどありようがない。
自分は何処に行っても働けると思い込んでいる人が如何に多いことかである。

最近の新聞論調は「自分に何が出来るかと考えて思い当たるものがない人は、簡単に飛び出さないで何処までも企業にしがみついていろ」という言い方になっている。

ごきぶり日記

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