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No.325

言葉の乱れ

03/07/01
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ごらんになった方も多いと思いますが、朝日新聞 6月20日 朝刊一面に文化庁の国語調査の記事が載っていましたね。
「役不足」「確信犯」「流れに棹さす」「閑話休題」などが記事として取り上げられていましたが、いずれも正解率は10~20%台で、多くの人が反対の意味に取っていたという記事でした。
「他山の石」など、こうした例を挙げればキリがないかも知れません。

結果として8割が「言葉の乱れ感じる」というアンケートを引き出しています。だが、これが「言葉が乱れている」とだけで片づけられることでしょうかねぇ。
この調査は面接形式というから、もっと多くのサンプルがあったと思いますが、全部の結果を知ったら考え込んでしまうかも知れませんよ。

「閑話休題」は43.8%が判らないと答えているようです。“それはさておき・・”というのが常識だと思っていたのですが。
どうも覚えにくい時は英語の方が確かかも知れません。つまり「not change the subject・・」とか「putting aside the story・・」という具合に。(あっているのかな?)

なるほど、と感心したのが「さ入れ言葉」で、こんな呼び方があるということを始めて知りました。つまり「明日は休ま(さ)せて頂きます」で、これは敬語に敬語を重ねたつもりなのでしょう。
この記事で「から」「のほう」言葉が「マニュアル言葉」ということを、これもまた始めて知りました。

そういえばこの記事にあるように、スーパーやコンビニで「千円からお預かりします」とか「お会計のほう1万円になります」というのが定形化しているようです。
こうした業界はアルバイトに若者を採用するから、応対のマニュアルがあるのでしょうね。そうするとマニュアルを作った人間が「変な敬語」を創作したことになります。

その昔、サンフランシスコに日本の大手旅行代理店の支店があり、そこの女性担当者(話せば永いことながら、少女の頃に失恋して単身、アメリカに渡ったと話す)が日本語を忘れてしまい、日本企業に入ったことで、厳しく敬語を仕込まれたと言っていましたが、まさに怪しげな敬語を使っていたのを思い出します。

「流れに棹さす」という言葉から、夏目漱石の「草枕」の、
「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の 世は住みにくい」という有名な冒頭の一節を思い浮かべることでしょう。
船頭は川底に棹を立てて、流れに沿って船を押す、のですから、情に棹させば人情に溺れて流されるということで、流れに逆らって棹を差すことはしないでしょうね。

さて、この日本語の乱れ、というか崩壊はどうなるのでしょうか。
70%に近い人が意味を取り違えているようなら、将来はこの間違った反対の意味がまかり通って辞書に載るかも知れませんよ。
言葉だけが残って、意味不明でまかり通る時代が来そうです。

その昔、「換骨奪胎で頑張ろう」とやった一流企業のトップがいましたっけ。「閑話休題で、暇な話でもして一息入れよう」とやるかも知れませんよ。

ごきぶり日記

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