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No.005

「心のやさしさ」(仙台の加藤さんより)

97/10/24

 イソップ寓話の「北風と太陽」という物語は、あまりにも有名である。
この話は子どもの頃から教えられたり、本を読んだりして育っているから、どなたでもご存じだろうと思う。
時が流れ、時代が変わっても、人情というものはどういうものであるか、あるいは世の中というものはいかなるものなのか、このイソップ物語は、あらためてわたしたちに教えてくれる。

 イソップ物語は、約350編が数えられる古代ギリシャから伝わる動物寓話であるが、読んで面白いだけでなく、人情をうがつということでは、素晴らしい物語である。
動物どうしの会話や独語形で語られ、結尾にはこころにズシンと響く言葉がある。
たとえば、「北風と太陽」で、北風と太陽が勢力争いをして、結局、太陽が北風に勝ったのは、旅人に無理強いをしなかったということ、つまり、やさしさが太陽にあったという処世訓を印象深く訴えた話である。
この譬え話のなかには、心のやさしさというものが、いちばん大切ですよ、という教えがこめられていると思う。

 そもそも、わたしたちが生きるこの世で、いちばん苦労するのは人間関係で、昔も今も変わらない切実な問題である。
たとえば、上司や同僚そして部下とのあいだの人間関係をうまく調節するコツを覚えることができれば、どんなに生きていくうえでの気苦労が減ることだろうか。
これらをうまく調節する教えは、この「北風と太陽」の短い寓話にすべてが含まれているような気がする。
つまりは、人に心やさしく接し、暖かい気持ちで人に近づけば、いつかは、その人の心は開くものだ。
そのような考えを心に決めたら、自分でそれを早速実行に移すことである。
が、この実行が簡単なようで、実はたいへん難しい。
「人生いろいろ」という歌があるように、人はいろいろな心の働きを持つ生き物である。
その心の働き、それは同情、感激、報恩、献身の気持ちのほかに、同じことなら楽をしたい、よい方を選びたい、よいものを見聞したい、十分に報いられたいという心の働きを持っているほかに、およそこの世のすべての人は、自分自身が相当な存在であると思いこんでいる、いわゆる自分という存在に誇りを持って生きているから、太陽のようなやさしい心を、いつもいつも持ち歩くことができないのが人間なのである。

 しかしそのような状態では、みんな心の底は淋しいに違いない。
こちらから一歩進んで、肩の力を抜いてやさしく近寄れば、よほどの手におえない朴念仁でない限り、相手のこころも自然近づいてくることを、この寓話は教えている。

心の赴くままに

ごきぶり日記

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